個性ある登場人物を書くために
登場人物のキャラクターづくりはいつも苦労する。個性をつくるということは簡単そうで難しい。
脚本を構想する時、主要な登場人物についてはできるだけ生い立ちからのプロフィールを作ってみる。
生まれてから劇中での年齢に達するまでにどんな経験をしたのか。両親や家族からどんな影響を受けたのか。どんな友達がいたのか。どんな時代を生きて、何を見て、何を聞いたのか。脚本を書き始めるよりも前に、まずこのプロフィールを可能な限り考える。
たとえば、どんな駆け引きからも逃げない強気な企業経営者が主人公のドラマを作るとする。まずはその主人公の生い立ちから想像を始める。
主人公は子供の時に父親の会社の倒産という困難を経験する。その経験から社会や経済に対して厳しい目を向けるようになり、自分は父親のような失敗はしないと、常に強気な態度で臨む経営者になる。
そんな主人公の父親とはどんな人だったのだろう。その父親は主人公にどんな風に接していたのだろう。
父親の会社が倒産した後、主人公はどんな学生時代を送ったのか。どんな友達がいたのか。好きな人とか彼女はいたのか。
何か大きな問題を抱えたりはしなかったか。逆に幸せに感じたことは何か。主人公を奮い立たせた出来事は何だったのか。
そんなことを、まずは思いつくままに書き出していき、主人公の年表を作っていく。
主人公の年表ができたら、脇役の登場人物たちの年表も作る。彼らがいつ出会い、どんな関係を築いたのか。共有する秘密はあるかなど。
こうしたキャラクターづくりが十分にできると、脚本を書くときにかなり楽になる。年表に書き出したエピソードは脚本の中で使うこともできるし、場合によっては敢えてストーリーには出さない隠された過去のように扱うこともできる。そういう登場人物の過去を用意しておくことができると、脚本に深みを出せる。
登場人物の年表を作る作業は結構楽しい。まずは誕生日から作中の年齢までの間の、学校への入学と卒業や就職のことなど、基本的な出来事を書き出す。そして、学校や会社での出来事、家族や友達との関係。人生の転機となる出来事などを考えて、年表に書き込んでいく。すると、初めは年月日と「誕生」「入学」「就職」のような淡々とした事実しか書かれていなかった年表が、喜怒哀楽に満ちた人物史に代わっていくのだ。
楽しいと思えるくらいまでこの人物史を作りこむことができれば、脚本はすんなり書けることが多い。逆に登場人物の年表づくりをする時間があまりとれなかったときは、本編を書くのに苦労する。
結局、脚本を書く作業というのは、本編を書くよりも、こうした前準備の作業の方が随分と時間を必要とするものなのだ。
シナリオ作成のご相談を承ります。ご連絡は問い合わせフォームからお願いいたします。
